運営者はWiseの提携プログラムに参加しています。現時点でこの記事に紹介報酬が発生するリンクはありません。比較データの一部はWiseが収集したもので、独立した全社実測ではありません。
ロンドンで暮らすAさん(例として考えた人物です)は、東京で貯めた300万円を持って渡英しました。毎月、日本の母に£300を仕送りしています。使っているのは、口座のある英国の銀行のアプリ。手数料は0円です。
ところが、送金画面の「手数料0円」と、母の口座に実際に届く金額は同じとは限りません。
お金はどこへ消えたのでしょうか。そして、どこで送ればよかったのでしょうか。
犯人は「手数料0円」の裏にある
送金で目減りする原因は、手数料よりも為替レートの上乗せです。
為替には、売りと買いの真ん中にあたる「仲値」があります。銀行は、この仲値から数%ずらしたレートで両替します。手数料の欄が0円でも、レートの差で取られているのです。
英国の銀行の例として、Barclays は自行の送金手数料をかけない代わりに、両替に最大2.75%を上乗せすると公表しています [S6]。£300なら、約£8です。
もう1つは日本側の受取手数料です。英国の銀行からの送金でも、送金通貨・経由銀行・受取口座によって扱いと費用が変わります。三菱UFJ銀行の円建て海外送金を円口座で受ける場合には、この額なら4,000円という料金表です [S3]。Aさんの銀行が実際にどの通貨と経路で送るかは、別途確認が必要です。
2026年10月10日、11社を同じ条件で比べた
では、どこが一番得なのか。英国から日本へ送ったとき、相手に届く円の額を並べました。
英国→日本、£1,000を送ったときの受取額(2026年10月10日取得 [S25])
| 送金先 | 受取額 |
|---|---|
| Wise | 208,412円 |
| HSBC | 207,848円 |
| Remitly | 207,043円 |
| Western Union | 205,238円 |
| NatWest | 204,714円 |
| Barclays | 203,750円 |
| PayPal | 199,287円 |
比べ方:Wise が公開している比較データ(各社の見積もりを2026年10月9〜10日に収集)から、£1,000を送ったときに相手に届く円の額を抜き出しました。日本側の受取手数料は含みません。各社のサイトに表示される額や、お使いの口座の種類によって変わることがあります。データの原本を保存しています。誤りにお気づきの方はお知らせください。
£1,000で、受取額が一番多かった Wise と Barclays の差は4,662円、PayPal とは9,125円です。£5,000でも Wise が1位でした(1,043,293円)[S25]。
正直に書いておくことが3つあります。
- この比較データは、Wise 自身が集めて公開しているものです [S25]。独立した全社実測ではありません。Barclays は両替時の上乗せ上限を公表していますが、比較データとの条件の完全一致までは確認できませんでした [S6]。
- £300 では、HSBC が Wise を49円上回りました(HSBC 62,354円、Wise 62,305円)[S25]。ただし、HSBC は自行の公式ページで、欧州以外への送金に£5の手数料がかかると案内しています(Premier や Global Money 口座などは無料)[S26]。データでは HSBC の手数料が0になっているので、普通の口座ならこの£5(約1,048円)が加わります。
- この表には日本側の受取手数料が入っていません。ここで差がさらに開きます。
英国→日本:受取口座の手数料まで含めて比べる
決め手は、表の順位より届き方です。
Wise で日本へ送ると、相手の口座には Wise の日本国内の口座から国内振込として届きます [S7]。三菱UFJ銀行の場合、国内からの振込を受け取る手数料は無料です [S4]。一方、英国の銀行からの送金は海外からの送金扱いになり、受取手数料がかかります [S3]。
Wise の比較データでは、£300の受取額は Barclays が61,125円、Wise が62,305円でした [S25]。ただし、この数字には日本側の受取手数料が入っておらず、Barclays の送金が円建てかどうかも未確認です。したがって、三菱UFJ銀行の円建て受取手数料4,000円をそのまま引いて「毎回5,180円、年62,160円得」とは言えません。送金直前に、支払総額と受取人の手取り額を両社で確認してください。
Wise は日本と英国の両方向の送金に対応しますが、支払元の口座や本人確認の条件があります [S19]。着金の見込みも、送金の向きや銀行営業日で変わるため、画面の予定時刻を確かめるのが確実です。
日本→英国:大きな額ほど複数の見積もりを
Aさんが持ってきた300万円を、日本の口座から英国の口座へ移す場合はどうでしょう(2026年10月10日取得 [S25])。
| 送金先 | 受取額(300万円) |
|---|---|
| PRESTIA | £14,219.87 |
| Wise | £14,209.92 |
| SMBC | £14,014.62 |
| 三菱UFJ銀行 | £14,008.90 |
| PayPal | £13,713.00 |
こちらは Wise が一番ではありません。SMBC信託銀行の PRESTIA が、Wise より約£10多くなりました。PRESTIA は、海外に移った後も非居住者口座として口座を続けられ、非居住者も海外送金ができると案内しています [S31]。それでも、日本のメガバンクから送るより、Wise のほうが約£201多く届きます。
比較データには Instarem も含まれていましたが(£14,400)、表から外しました。Instarem には初回の送金の特典があり、利用にはマイナンバーと日本の銀行口座などが必要です [S32]。データ上の数字が初回特典を含んでいる可能性があり、英国在住の読者が普段使う条件の比較ではないと判断しました。
この日のデータでは PRESTIA と Wise が近く、どちらか一方が常に最安とは言えません。大きな額ほど、口座資格・実際の受取額・経由手数料を同じ日に比較してください。
Wise で送る手順(英国→日本)
- Wise に登録し、本人確認を済ませる
- 受取人に、日本の口座を登録する。必要なのは、口座名義(通常はカタカナで、通帳の表記と完全に一致させる)、口座番号、口座の種類(普通など)、銀行名と支店名です [S19]
- 送る額を入れ、表示された受取額を確かめる
- 英国の自分の銀行口座から振込で支払う
日本から英国へ送るときは、日本の自分名義の銀行口座から円を払い込みます。名義が違う口座やクレジットカードでは払えず、日本国内の銀行からしか入金できません [S19]。つまり、日本のネットバンキングが英国から使えることが前提です。次の落とし穴につながります。
落とし穴は3つ
① 英国に住むと、日本の口座が使えなくなることがある いちばん痛い落とし穴です。海外に移ると、銀行によっては口座の解約を求められます。
- ソニー銀行:日本国籍の人は、出国前に手続きすれば使い続けられる [S15]
- 三菱UFJ銀行:ネットバンキングは海外から使える。ただしスマートフォンアプリは日本国内のみ [S14]
- 三井住友銀行:海外向けサービスの対象は、会社の派遣や留学の人。現地採用や永住は対象外 [S16]
- ゆうちょ銀行、ドコモSMTBネット銀行:解約を求めている [S17][S18]
これから渡英する人は、出国前に「英国から動かせる口座」を1つ確保しておくこと。もう英国にいる人は、まず自分の口座の扱いを銀行に確かめてください。
② 仕送りを、受け取った側が貯金に回す 親子などからの生活費で、必要な都度そのまま使うお金には、日本の贈与税はかかりません。ただし、生活費の名目でも預金や投資に回すと課税の対象になります [S10]。それとは別に、1年間(1月〜12月)の贈与が110万円以下なら贈与税はかかりません [S9]。
③ 円のまま送って、英国の銀行に両替を任せる Barclays は、受け取った送金をポンドに替えるときも最大2.75%を上乗せし、£100を超える受け取りには£6かかります [S20]。日本→英国で銀行を使うなら、日本の銀行でポンドに替えてから送るほうが上乗せは小さくなります。三菱UFJ銀行の円→ポンドのレートは、仲値より約1.9%不利な水準でした(2026年10月9日の公表値)[S1]。
知っておくと安心なこと
- 100万円を超える送金は、向きにかかわらず、銀行から税務署へ記録が送られます。税金ではなく、お金の流れの記録です [S11]。
- 英国の税:海外の所得を英国に持ち込んだときに課税を選べる仕組み(remittance basis)は2025年4月6日に廃止され、到着から4年以内などの人が使える FIG 制度に変わりました [S24]。日本の預金の利息や株の売却益がある人は、専門家に確認してください。
- 送金業者の安全:FCAの登録簿で会社と登録区分を確認できます。銀行以外の業者はFSCS(預金の補償制度)の対象外です。EMI・APIには分別口座や保険・保証で顧客資金を保全する義務がありますが、SPIには同じ義務がありません [S8]。「登録済み」だけで同じ保護があるとは判断できません。
- 現金の両替やキャッシングは、まとまった額には向きません。三菱UFJ銀行の現金の両替レートは仲値から12円離れていて、約5.4〜5.7%目減りします(2026年10月9日の公表値)[S1][S2]。
送る前のチェックリスト
- □ 送る前に、Wise と今の銀行の受取額を見比べた
- □ 受け取る日本の口座の名義を、通帳の表記と一致させた
- □ (日本→英国)日本のネットバンキングが英国から使えることを確かめた
- □ (日本→英国、数百万円)PRESTIA の口座がある人は、そちらの見積もりも取った
- □ 仕送りは、受け取った側がそのまま生活費に使う
この記事は一般的な仕組みの説明です。税や個別の判断は、税理士などの専門家や各機関にご相談ください。受取額は2026年10月10日に取得したデータで、為替と手数料は毎日変わります。
初版の確認日:2026年10月10日 変更履歴:2026年10月10日 初版
今回の更新:比較データの条件、受取手数料の扱い、出典の確認記録を整理しました。
比較は掲載日に確認した条件での参考情報です。実際の料金・適用条件は申込時に確かめてください。